公開日: 2023年07月10日

相続不動産にかかる法制度の改正

今年度から来年度にかけて、相続した土地について、大きな法改正が施行・予定されています。

1 相続土地国庫帰属制度(令和5年4月27日施行)

現在日本では都市部に人口が集中する傾向が続いており、地方は人口減少や高齢化の一途を辿っています。

ところが、自分の両親が亡くなって相続が発生した際、実家がある地方の土地があることは多々みられます。相続した段になって、まず使うことがない田畑や山林原野があった場合、どうしようかと悩むことになります。

従来、このような場合は地方の自宅も含めて売却先を探すか、相続放棄するしか方法がありませんでした。

しかし、都市部人口集中の近年の背景事情から、相続(相続人への遺贈も含む)によって取得した土地を、国に取得してもらう制度(相続土地国庫帰属制度)が令和5年4月27日からスタートしました。

この制度を利用することで、相続放棄せずとも、不要な土地だけ国が引き取ってくれます。

ただし、すべての土地が対象ではなく、通常の管理処分に過大な費用や労力を要する土地は対象外となります。例えば、建物が建ったままの土地や、抵当権等の担保がついている土地、土壌汚染や廃棄物などがある土地、崖など危険な土地などです。

また、国に引き取ってもらう承認が出た場合には、管理費用を収める必要がありますが、宅地や田畑なら原則として20万円、その他は面積に応じて負担金が決まります。

 

相続土地国庫帰属制度が利用できるかどうかのご相談や、民間売買の見込みがあり得るかどうか判断がつかない場合での不動産業者のご紹介も含め、相続土地に関するお悩みがありましたら、当事務所までご相談ください。

2 相続登記の申請義務化(令和6年4月1日施行予定)

これまでは、不動産を相続しても相続登記はあくまで任意となっていました。しかし、相続登記がなされないまま長期間放置されると、また新たな相続が発生することで誰が所有者なのか不明になってしまったり、膨大な数の相続人による共有状態が発生することになります。

そこで、来年4月から、相続によって不動産を取得した場合は、取得したときから3年以内に相続登記をすることが義務付けられることとなりました。遺産分割が必要な場合は、同様に遺産分割が成立した日から3年以内に登記申請が必要になります。

正当な理由なく相続登記を怠っていると、過料が課されることになります。

相続で不動産を取得したのに、登記申請してないまま放置している方は、なるべく早めに登記をしておくことをおすすめします。

 

相続不動産でお悩みの際は、当事務所までご相談ください。

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